高校生の歩美がめぐりあった公園横の小さな喫茶店・風珈館。姉と弟の二人で営むその場所は、空虚な時を過ごしていた歩美にとって異空間に思われた。そこでアルバイトを始めた歩美は、姉弟とそこに立ち寄る人たちが織りなすささやかな事件に出会うことになる。
<あの母親が、誘拐犯?! 母子を荷台に乗っけて運んだゲンさんが次にしたことは?(「停電の夜」)
公園を横切り、子どもたちはやってきた。そうして、一人、また一人と闇に消えていく--「大人達には知らせないで!」少女の悲痛な叫びに応えた子どもたちの選択(「真夜中の子どもたち」)>
--それは、ふと出会った人たちの優しさが連鎖する小さな奇跡の物語だった。