詩の中に、俳句、短歌をちりばめた意欲的な第三詩集。
これまでの二冊の詩集と若干、趣が異なり、具象的な言語空間が広がる。
しかし、作者の原風景である「海」をモチーフにした点は前二作の世界を引き継いでいる。
理由のない涙が落ちて
理由のある区切りがついた――。
かつて、「孤独とも違ふ重さか檸檬切る」と詠んだ詩人が定型と非定型の間を漂いながら、新たな世界を模索。