最近の10年余りの作品21編を収める。作品の多くで川が流れ、川の流れに時の流れ、人生の折々、喪失と再生の物語が投影される。なつかしさと切なさを感じさせる詩集。
川にやさしい風が降りてきた
まるで命を終えかけた人の最後の息のように
きみはきみの唇をぬぐう
あらゆることの多義性に声がかすれそうだ
(「いちばん遠い場所」最終節)